vol.2 2004年5月7日(金) アテネ・フランセ文化センター

上映作品

ハルーン・ファロッキ
『この世界を覗く・戦争の資料から』 Bilder der Welt und Inschrift des Krieges
1988年 75分 カラー、16mm
  撮影インゴー・クラティッシュ 録音クラウス・クリンガー ナレーター ウルリケ・グロテ

第2次世界大戦中、アウシュヴィッツ上空から撮られた写真に写っていた強制収容所が認識できなかった事実をはじめ、数々の映像を検証しながら我々自身の視線を批判するフィルムエッセイ。
「『この世界を覗く・・・』で私はこの地球がミサイルのコントロールシステムという目的のために眺められるのは非常に危険だという感情を伝えようと試みた。次いで私はイメージの歴史を調査し、人間はイメージを作ってオリジナルを抹殺するのだと推論した。エドガー・アラン・ポーの言うように「イメージは成功する。そしてそのモデルとなったものは破棄される。」これは古くからある考えだが、ヒロシマ以来我々はこの世界が抹殺のためのモデルになるのではないかと恐れなくてはならない。」

アイ/マシーンIII
Auge/Maschine III
2003年、ビデオ 18分
共同脚本/監督 ファロッキ、マチアス・ライマン、インゴー・クラティッシュ 編集マックス・ライマン

資料

湾岸戦争以後、戦争テクノロジ−は民間製品の発展に火をつけるほどの衝撃をもたらすことができるようになった。『この世界を覗く・・・』の15年後に類似したテーマを扱い、ゴダ−ルの『パート2』とエイゼンシュテインに想を得た2つのスクリーンとモンタージュによる『アイ/マシーン』3部作の最新作で、ファロッキはSF映画やゲームから抜き出したようなコンピューター・シミュレーションのイメージと現実の誘導ミサイルに取りつけられたキャメラ(「ハラキリ・キャメラ」)の映像を併置する。ミサイルが光る海を突っ切って目標に向かい、建物が爆発する。戦闘機が互いにミサイルで攻撃するコンピューター上の戦場。それはバーチャル戦争と現実の戦争の識別不可能な状況に直面した我々の世界である。


ハルーン・ファロッキ
1944年生まれ。1966〜68年までベルリン・フィルム・アンド・テレヴィジョン・アカデミーで当時講師だったジャン=マリー・ストローブらに師事する。在学中から映画製作を開始。1974年から83年までハルトムート・ビトムスキーとともに映画雑誌フィルムクリティークの編集に加わる。以後現在まで60本以上の作品を製作。"Nachdruck/imprint Text/Writing"などの著作、ストローブ=ユイレ『アメリカ』に俳優としての出演、フリードリヒ・キットラーやマンフレート・シュナイダーらとの共同作業作"Kamera und Wirklichkeit,Rumanien1989"等もある。1993〜99年バークレー大学講師、1999〜2000年ベルリン芸術大学メディア学部教授。

対談;赤坂大輔(映画批評家)×渋谷哲也(ドイツ文学者)

主催:NCNC アテネ・フランセ文化センター
協力:東京ドイツ文化センター、ハルーン・ファロッキ・フィルムプロダクション Harun Farocki Filmproduktion www.farocki-film.de

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